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このエントリーを含むはてなブックマーク 2007.06.22    ビリーズブートキャンプ物語1日目

ビリーの主催するキャンプはブートキャンプと呼ばれている。

ブートキャンプは『新兵訓練場』という意味だそうだ。

そう、ここは軍隊で、オレはただの一兵卒。



この怪しい設定に少し心配になって、ブートキャンプのことを調べてみた。

どうやら、日本でも、既に50万人以上が入隊したらしい。

それなりの評価もあるようで、危ない勧誘では無さそうだ。

オレは少し安心した。



が、この過酷なキャンプを無事修了した者は10人に1人もいないらしい。

という情報も得た。



そりゃそうだ。たった一週間で人生が変わるのだ。

相当過酷な訓練に違いない。

オレは少しビビったが、覚悟を決めた。

このブートキャンプで、オレは人生をリブート(再起動)するのだ。



ブートキャンプに参加する際は動きやすい服装にすること。



と指定されていた。それも、



できれば腹筋がよく見えるようにタンクトップ着用。



アメリカナイズな指定だった。

初日なので、スーツで参加すべきか迷っていた俺は、

スーツを放り出して、タンクトップを探したが、思った通り見つからなかった。

しょうがなくティーシャツにトランクスという格好で参加することにした。



トランクスは少し恥ずかしかったが、同じ隊の人達とコミュニケーションを取るために、

少し、ウケを狙った格好をしようと考えた末の結果だった。



訓練の時間になった。



オレは、指定された部屋に入った。

同じ隊の人達と思われる人がぞろぞろと入ってくる。



計15人ほどいたが、全員外人だった。しかも、ほとんど女だ。



もしかしたら、同じような境遇の女性とお知り合いになれるかもしれん。



そんな甘い想像を少しだけしていたが、

出てきた女達の腹筋は、猪木のアゴ以上にしゃくれていた。



少し面喰らったが、オレは人と馴れ合うためにココに来たわけじゃない。

人生を変えるために来たんだ。



しかし、最低限挨拶だけは交わそうと思い、

NOVAで鍛えたネイティブな発音で挨拶をした。



誰も返事をしてくれなかった。



へっ、新兵いじめってやつか。

いいだろう。ここは軍隊だ。そんなことは覚悟していた。

そのうち嫌でもオレを認めさせてやるぜ。



そう思って、部屋の端で一人精神を集中していた。



勿論、オレがトランクスであることに誰もツッコミをいれてくれなかった。



その点だけは、少し後悔した。



時間になり、ビリーがやって来るやいなや、アップテンポな音楽が流れ始めた。



「さぁ、準備はいいか!?」



入隊したてのオレを他所に早速訓練が始まった。

オレは、勝手がわからず少し焦ったが、ビリーの説明を聞きながら

必死に訓練についていく。



初日の訓練はたったの55分だと聞いていた。

55分なら、どんなに辛くても耐え切れるかもしれない。



そんな不安を他所に、最初の10分はストレッチで終わっていった。

普段からストレッチをしているオレは、難なくメニューをこなしていく。



そんなオレに、ブリジェットと呼ばれていた女性が笑顔を投げかけてきた。

オレは、少し照れたが、笑顔を返した。

彼女とは気が合いそうだ。



10分当たりから、筋トレに移っていく。

腕立て伏せなどをこなして筋肉が疲労していく。



「初心者は、膝を付けてもいいぞ」



優しい言葉をかけてくれるが、俺は逆にその言葉を聞いて、

膝を付けずに腕立て伏せをこなしていく。

それが逆効果か既に上半身にかなりの疲労が溜まってきた。



数分後、既に周りに付いてけず、一人遅れ気味になっていた。

周りは、まだ余裕の表情で難なくメニューをこなしていく。



こんな調子で、人生を変えようなんて。オレは何て甘ちゃんなんだ。



自分の非力さに怒りすら感じていた。



こんな調子じゃ一週間乗り切れるわけが無い。



ブリジェットが哀しそうな目でオレを見て来たが、

何も返すことはできなかった。



彼女も、こうやって去って行った隊員を何人も見て来たのだろう。



そんな時、ビリーがこっちに声をかけてきた。



「声を出せ!!声を出すと力が湧き出るんだ!!」



オレは、既に声を出す余力もなかった。



「いいか、ここはブートキャンプだ!

 ここは人生を、自分自身を変える場所だ!!

 つらかったら休んでもいい。

 でも、絶対諦めるな!!



そうだ。オレは人生を変えるためにココに来たんだ。



ハガァー!!



力を振り絞った。

同時に、自分の知らないうちに声を発していた。



動ける。まだ、動ける!



オレはハッとして、ビリーに顔を向けた。



「グッジョブ!!」



ビリーは笑顔で応えてくれた。



その後も、ビリーバンドを使った腕中心の訓練、腹筋を使った訓練と、

激しい訓練は続いた。

途中、ついていけないこともあったが、オレは何とかメニューをこなしていった。

と。突然、アップテンポな曲がスロウな曲に変わった。

どうやら、もうすぐ訓練は終わりらしい。

太極拳のようなスロウな動きのメニューをこなしていく。



「さ、みんな集まって」



ビリーがみんなを前に集めた。みんな一列になって手を繋ぐ。

ブリジットが笑顔でオレの手を取って来た、少し照れたがオレは手を繋いだ。

おもむろにビリーが話し始める。



「ブートキャンプに挑むことで自分を変えられる

 俺たちがついている。これが最初の一歩だ。

 そして、みんなに神の祝福を」



その後、少し間が空いて、



「ヴィクトリー!!」



思わず、オレも一緒に叫んでいた。

体から大量の汗、瞳からも熱いモノが流れていた。



つづく

この記事は、 71 オモロ


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