total:
  today:
  yesterday:

このエントリーを含むはてなブックマーク 2007.07.04    ビリーズブートキャンプ物語最終日

1日目から読む

静まり返る部屋の中で、オレはシェリーを見下ろしていた。



シェリーの唇は心なしか震えているような気がした。



「一人の女性がこの世に生を受けた。

 彼女は両親から溢れんばかりの愛を注がれ成長した。

 でも、その少女は物心付いた時に、あることに気付いた。



 自分と愛すべき父親の肌の色が違うことを。



 それが当たり前だと思っていたが、いずれは嫌でも気付かされる。

 彼女は両親に尋ねた、『なぜ自分の家族だけ肌の色がこんなに違うのか』

 両親はその時、ちゃんと説明したのかどうか、オレにはわからない。

 でも、彼女はそこに触れてはいけない何かを感じ取ったはずだ。

 そして、気付く。自分と父親は実は血が繋がっていないことを。



 でも、少女は思ったはずだ。そんなことは関係無い。

 弟と同じように愛情を注がれ、笑顔が絶えない家庭。

 自分の父親はこの人だけだと。



 その少女はきっとその時心に誓ったんだ。

 この父親の愛情に応えるために自分が出来ることは全てやると。

 どんなに厳しいトレーニングも、彼女はやり遂げたんじゃないだろうか。

 どんなに辛い時でも、彼女だけは声を出し続けたんじゃないだろうか。



 でも、そうやって父親の期待に応える中で、もう一つの感情が湧き上がってきた。



 『自分のもう一人の父親はどんな人間なのか?』



 彼女はそれを両親に内緒で、調べてしまったのか。

 または、偶然その情報を知ってしまったのか。

 とりあえず、彼女は知ってしまった。

 自分の本当の父親は、『アジア系の白人』だってことを。

 それから、彼女はアジア系の人間を見る度に言い知れぬ感情を抱くようになった。

 その感情は膨らむ一方だ。

 でも、きっと彼女は許せなかったんだ。

 自分達を捨てた父親のことじゃない。

 自分には他人も羨む最高の父親がいるのに、アジア系の人間を見るたびに、

 もう一人の父親のことを考えてしまう自分自身が」



シェリーの表情は明らかに変わっていた。



「シェリー。日本にはこういうことわざがある。

 十人十色。

 十人集まれば、十通りの色、つまり十通りの異なった考え方がある。

 だから、色んな人がいても、それを認めようよ。っていう意味なんだ。

 その中には、宗教や国籍、そして肌の色なんて関係無い。

 みんなそれぞれが一つの色なんだ。



 ビリーだって、一つの色。

 そして、君の本当の父親だって、それも一つの色。

 両方とも認めたっていいんじゃないかな。

 そうしたところで、君の中のビリーが汚れてしまうわけじゃないよ。



 それにね。



 十人十色は、英語で「数人いれば、数個の想い(several men,several minds)」って言うんだ。



 ビリーはいつも言っているよ。



 『変わりたいという想い(mind)さえあれば、いつだって人は変わることができる』って。



 そうすれば、シェリーはもっと綺麗な色になると思うんだ」



言い終えた時には、シェリーは両手で頭を抱え込むように俯いていた。

彼女の表情を窺おうとした時、



「・・・出て行って」



「出て行ってよ!!」



彼女は取り乱したように大きな声を上げた。

オレはその声に追い出されるように部屋を出た。

廊下から部屋の中の様子を窺うも、物音一つ聞こえなかった。



オレは、一息吐くと自分の部屋へ歩き出す。

そして、

   隊を去ることを決めた。



荷造りを終え、数人の仲間が玄関に見送りに来てくれた。

髪型をドレッドヘアに変えたブリジェットもその中にいた。



「似合う?これ、彼氏と同じ髪型にしてみたのよ!!」

それを聞いた時は、コイツぶん殴ってやろうかと思ったが、

ガチで勝負したら多分負けるので止めといた。



シェリーのことも聞かれたが、

「やっぱり怖いから何も言えなかったよ」

と答えておいた。



「そうかぁ。今度も失敗かぁ」

こいつ、絶対腹黒いぞ。そう確信した。



オレはみんなと握手&ハグを交わし、施設の出口に向かって歩いていく。

あっという間の一週間だった。

色々あったけど、来て良かった。そう思った。

最後にビリーに挨拶に行こうと思ったが、会ったら泣いちゃいそうだったので、

ブリジェットに伝えてもらうことにした。



角を曲がる前に、みんなにもう一度手を振った。



みんなお喋りに夢中でこっち見てなかった。



泣きそうになった。



やっぱり来なくても良かったんじゃね?

落ち込みながら門を目指す。

ブートキャンプの門をくぐろうとした時、人影が見えた。



門に寄りかかるようにして、シェリーが佇んでいた。



「帰るのね」



シェリーはこちらに顔を向けず、そう話した。



「あぁ、そうしようと思う」



その時、シェリーならオレを止めてくれるんじゃないかと思った。

前のように罵倒して、迷っているオレを引き止めてくれるんじゃないかと。



「そう」



二文字で終わった。シェリーに期待したオレのバカァッ!



オレは、暫くその場に佇んでいたが、シェリーは何も喋らなかった。



「じゃ、オレ帰るわ」



シェリーに背を向ける。



「あなたは、なぜここに来たの?」



背中越しに、尋ねられた。



「・・・おれは、」



立ち止まって、シェリーの方を振り向く。目が合う。



「―――人生を変えるためさ!」



二人でにやりと笑った。



「ビリーからの伝言よ。

 『日本人は心移りが激しい人種だから、

  また人生変えたくなったらいつでも来い!!』 だって」



嬉しそうにビリーバトンの説明をしてるビリーの顔が浮かんできた。



「その時まだここが流行ってたらね」



オレは笑顔で、そう言い返した。

―ここはブートキャンプ

人生を、自分自身を変える場所


ビリーズブートキャンプ物語 了


「ここまで読んでくれた君に神の祝福を!」
今だけ5000円キャッシュバック!

※わかってると思うけど、この物語のほとんどがオレの妄想です
この記事は、 63 オモロ


オモロボタンとは

一言コメント
1 名前:バカ社長の秘書 (東京) 投稿日:2013/02/20 21:33:39
妄想でしたかwww

2 名前:バカ社長の幼馴染 (譚ア莠ャ) 投稿日:2014/10/21 23:43:44
繝薙Μ繝シ繝シ繝シ?

3 名前:バカ社長のストーカー (東京) 投稿日:2014/10/21 23:58:21
ビリー!

4 名前:バカ社長の過去 (東京) 投稿日:2014/10/21 23:59:59
ビリー!

返事が欲しけりゃtwitter